イスラームは寛容な教えだ!
「宗教は平和のためにある」と考える著者が、イスラームをめぐり偏狭さや暴力的側面だけが伝わる現状を憂い、その思想中には“寛容性”や“多様性”だけでなく、生長の家との共通性があることを指摘する。
本書は、生長の家総裁代行(当時)・谷口雅宣先生が、2005年7月から2008年7月、ブログ「小閑雑感」に発表されたイスラームについてのご論考をまとめたもの。
2部構成で、「第1部 イスラームの衝撃」は、「ロンドンのテロ」「信仰と風刺」など12章を収録し、イスラームに関する時事的な論評を集めている。
続く「第2部 イスラームへの理解」は、「イスラームの理性主義」「イスラームと生長の家」など8章を収録。暴力的な面の報道が多いイスラームについて、“寛容性”“多様性”などの平和的な内容を持つことを強調され、“万教帰一”の考え方など、生長の家との共通点についても考察されている。
「はしがき」の中で、「信仰者が他宗教との“違い”を見つめることは、宗教間に争いを生む原因となるのである。“共通点”を見出し、それを認め合うことによってのみ宗教間の共存が可能となる、と私は考える」と述べられている。
【目次より】
第一部 イスラームの衝撃
1 ロンドンのテロ
原理主義者の聖典解釈/テロの動機とは?/新タイプのテロリスト/英政府の報告書
2 信仰と風刺
メディアの責任/宗教の政治への利用
3 イスラームにヴァチカンはない
4 イスラームはどうなっている?
ワッハーブ主義とは/聖典のつまみ食い/オサマ・ビンラディンの世界観/メディアの影響力/民主主義は偶像崇拝
5 イスラームを悪魔化してはならない
6 映画『ユナイテッド93』
7 ローマ法王の失言
発言の経緯/発言の主意
8 聖者の生首
“触らぬ神”ではいけない
9 気がかりなブッシュ演説
10 ブレア首相の論文を読む
11 「テロとの戦争」をやめよう
12 核の自爆攻撃をどう防ぐ?
第二部 イスラームへの理解
1 スーフィズムについて
実践から思想へ/スーフィズムの発展/ワッハーブ派の弾圧/教団組織の成立/形か内容か?
2 イスラームの理性主義
イスラーム神学の成立/ムータジラ派の神学/アシュアリー派の神学/アル・ガザーリーの思想/神への愛
3 権威と権威主義
『ハディース』の解釈
4 イスラーム法と理性
5 イスラームにおける多様と寛容
リベラルなイスラーム/宗教目玉焼き論
6 イスラームの多様性
7 現代のイスラーム理解のために
ワッハーブ派の思想/宗教的権威の空白状態/イスラームの館
8 イスラームと生長の家
イスラームの理性と論理性/イマームとは何か?/現象の奥の真実在/スーフィズムが目指すもの/生長の家との類似点