―日本図書館協会選定図書―
*入院している場合、窓の外の緑の木々を見ているほうが、コンクリートの壁を見ているよりも治りが早い。
*ぜんそくの子供の吸入器にバニラの匂いをつけると、やがて、実際の薬を使わなくてもバニラの匂いだけで症状が緩和するようになる。
*ニセの手術を受けた患者が、本物の手術を受けた患者と同様の回復率を示す。
*貧しい人に奉仕しているマザーテレサの映画を見せると、身体の免疫機能が高まる。
*ウルシの枝をクリの枝だよ、と偽って腕にこすりつけたところ、何も起こらないが、クリの枝をウルシの枝だよと言って腕にこすりつけると、ひどい炎症が生じた。
*新たな治療法が鳴り物入りで登場すると、たとえその治療法が医学的に無価値なものであっても、最初は70%という高い治癒率を示す。
……これらの偽薬(プラシーボ)効果は何を示唆し、そこにどのような意味があり、われわれはそれをどのように活用できるのか。
長年にわたる臨床経験および徹底的な医学的調査から、人間のからだには、さまざまな種類の病気を自ら癒す能力のあることがわかっている。ニセの無害な薬や手術、あるいは言葉や思いがきっかけとなって、からだは実際に「薬」を作り出し、症状を好転させる──すなわちプラシーボ反応である。本書では経験豊かな臨床医が、プラシーボ反応のメカニズムを解き明かすとともに、その反応を利用してからだの治癒力を最大限に発揮させる方法を、豊富な実例とともに提示する。
【目次より】
第1章 プラシーボ反応とは?
第2章 プラシーボ反応の歴史をたどる
第3章 プラシーボ反応はどんな人に起こりやすいか?
第4章 体内の製薬工場
第5章 プラシーボ反応と期待
第6章 条件づけ理論とプラシーボ反応
第7章 意味づけ仮説
第8章 ノシーボ効果
第9章 意味づけからからだの変化へ――生化学的経路
第10章 プラシーボ反応とまぎらわしいもの
第11章 接点としての体内の製薬工場――西洋医学と代替医療をつなぐもの
第12章 体内の製薬工場を邪魔するものを取りのぞく――欲求と許し
第13章 物語を通して意味づけを深める
第14章 人とのつながりをもつ
第15章 自分の健康に関して主導権をにぎる
第16章 協力関係を保つ――医療専門家と主導権を共有する