地球温暖化、気候変動、放射能汚染の根因は人類の欲望にある――
次世代のために自然と調和した文明を構築するための道を示す希望の書。
本書は、宗教法人として初めてISO14001を取得し、環境保全活動に力を入れている生長の家の総裁が、東日本大震災にともなう東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、宗教者の立場から原子力発電の問題点を明らかにし、“脱原発”を決めた論考、講演録等をまとめたものです。
著者は、自然界を汚染する放射線や原子炉の技術的な問題、原子力ムラの歪みなど、原発の危険性や弊害を指摘し、さらに現在の気候変動や原発を生んだのは人類の欲望であるとし、今こそ“脱原発”へと踏み出して、欲望を基礎とする現代文明を転換することが、次世代の子や孫のための責任ある決断であると訴えます。
それでは来るべき文明とはいかなるものか。著者は本書のなかで宗教的立場から自然の背後に人間以上の価値を認め、人間だけでなく、自然のすべてのものに愛を行じる生き方や、効率優先の生き方から自然との一体感を深める生き方への転換を促しています。
“脱原発”からすべての生物が共存共栄する“新しい文明”の樹立へと導く人間の心のあり方と生き方を明示する、深い問題提起を含んだ一冊です。
【目次より】
はしがき
序章 人類の欲望が生んだ気候変動と原発
第二章 大震災、原発事故の教訓
1 歓喜への道
2 大震災の意味を問う
3 原発事故から何を学ぶべきか
4 “新しい文明”の構築へ
第三章 自然と共に伸びるために(講演録)
1 万物に感謝する生き方をひろげよう
2 日時計主義は新文明の基礎
3 大震災のメッセージを聴く
4 死もまた教化(きょうげ)する
5 原子力エネルギーの利用をやめよう
第四章 現代文明転換への視点(講演録)
1 「自然を愛する」ことの本当の意味
2 “めんどくさい”が世界を救う
第五章 自然との大調和と日本の新生を祈る
自然と人間の大調和を観ずる祈り
新生日本の実現に邁進する祈り
●「はしがき」より
私は、本書の読者が、人類のいま置かれている状況を理性によって正しく理解され、原発に依存する“エネルギー中毒”の生活から遠ざかる道へと、決然として歩み出されることを願ってやまない。それが、私たちの子や孫世代のための責任ある決断だと考える。そのような道の一つとして、本書では宗教的な立場から「自然の背後に人間以上の価値を認め、自然物に四無量心を行じる生き方」を提案している。