●「生物学界のカール・セーガン」=デイヴィッド・スズキ博士が壮大なスケールで描き出す、地球生命圏の不思議なメカニズム。
地球と私たちのからだは、地(土壌)・水・火(太陽エネルギー)・風の「四大元素」と「生物多様性」とによって織り上げられた、生命の聖なるタペストリー。
地球の生命圏を再生して人間と自然が理想的バランスで共存できる未来の地球のすがたを示した、新時代の自然学。
【目次より】
《はじめに》
裸のサルから「超種」へ/疲弊した世界/解決への糸口/世界の見方を変える
《第1章・ホモ・サピエンス――地球に生まれて》
秩序を生みだす脳/世界観を紡ぎあげる/父なる太陽、母なる地球/コペルニクス的転回/異種間の腹を割った話/絆の切断/われわれが無知であることへの自覚/消費によって満足を得る/自然との絆を切り捨てる/新たな物語を求めて
《第2章・風――緑の息吹》
わたしたちは空気だ/呼吸のしくみ/万能接着剤としての空気/大気の起源/生命と大気の相互作用/生命を育む大気圏/放射線シールドとしての大気/すべての生物のための空気
《第3章・水――わたしたちの身体を海が流れる》
水循環/水分子アクアの一生/地球の循環システム/最初の洪水/バランスを保つ/水の不思議な性質/淡水の供給――地球上でもっとも稀少な水の形態/海洋――地球の気候の原動力/水の利用と汚染
《第4章・「土」から生まれて》
神聖なる土壌/土壌の隠された世界/土壌の起源/風化から生命へ生と死のバランス/土壌の「層位」/土壌から食物を得る/農業――人類進化の新たな段階/大地の古い教え
《第5章・聖なる「火」のエネルギー》
内なる火――代謝活動/「外なる火」を手にする/プロメテウスの火/身体深部の火/生命あれ(あるいは最初の一閃)/エネルギーを探しまわる/気前のいい太陽/過去からの遺産/火と戯れることの危険
《第6章・生命の絆に守られて――第五の元素「生物多様性」》
生と死――つながり合った双生児/全生命の相互のつながり/人間の五感を超えた世界/なぜ生物多様性が重要なのか/分子レベルの設計図/遺伝的な多様性を讃えて/変異の重要性/多様性がもたらす生態系の安定性/人間の文化多様性/超個体としての生物/ジェームズ・ラヴロックとガイアの概念/地球と人間との新しい関係/大規模な絶滅の危機/生命の織物を保全する/本当の幸せとは?
《第7章・「愛」という自然の法則》
もっとも重要な条件――愛という要素/家族を越えて社会へ/惨事から学ぶ教訓――愛の欠乏/人間の共同体の過去と現在/都市で途方にくれる人々/バイオフィリア――進化的なつながりを回復する/心理学と生態学の融合――エコサイコロジー/愛が人間をつくる
《第8章・聖なる物質――自然にやどる精神性/霊性》
精霊の生きる世界/精神と霊性の疎外/楽園への帰還/生態学的な世界観/語りかける精神・霊/精神/精霊の力によって生きる/経済的価値を超えて
《第9章・聖なるバランスの回復へ》
わたしたちに何ができるのか?/まとまれば圧倒的な力になる/地球サミットを人々の記憶に刻んだ、ある子供の講演/イアン・キアナンと運命のヨットレース/建築家の新しい姿――ウィリアム・マクドナー/ケニアの森林再生のために――ワンガリ・マーサイ/カール=ヘンリク・ロベールとナチュラル・ステップ/生物多様性を擁護する――ヴァンダナ・シヴァ/マングローブで地球を再森林化する――向後元彦/ムハマド・ユヌスと「グラミン銀行」の取り組み/聖なるバランスへの変革